”精子の質”が低下する4つの行動
現代の男性の精子は50年前と比べると50~60%減少しているとの報告があり、今、世界中で男性の精子が減少していることが注目されています。
精子の数や運動率が減少するといった、精子の質の低下は不妊に繋がってしまうことがあり、WHO(世界保健機関)によると、不妊の48%が男性にも原因があるといわれています。
精子の質が低下する要因は様々ありますが、普段何気なく行っている行動が、精子の質を低下させている可能性がありますので、今回はどのような行動が精子の質を低下させてしまうのかを紹介していきます。
①ぴったりとした下着を履いている
男性の下着は大きく分けて、ブリーフ(ボクサーブリーフを含む)のようにぴったりとしたタイプと、ゆったりとしたトランクスタイプがあります。
不妊治療施設を訪れた男性656人を対象にしたアメリカの大学の研究によれば、トランクスを履いている男性の方が、精子濃度は25%、総精子数は17%高かったとの報告があります。
この原因としてブリーフタイプの下着では、精巣(睾丸)付近に熱がこもりやすいためと考えられます。
精巣は熱に弱く体温よりも2~3度低い温度(約34度)という温度環境が必要です。
そのために精巣は体内に埋め込まれず、体の外にぶら下がった状態になっているのですが、ブリーフのようにフィットする下着を履いていると、通気性が悪くなって精巣が温まってしまい、結果として精子の質の低下につながってしまいます。
②お風呂に浸かる
さきほど、精巣は熱に弱いという話をしましたが、下着だけではなく熱いお風呂やサウナによく入るなど、お風呂習慣によっても精子の質が低下する可能性があります。
ある統計では、湯舟に週2回浸かることで精子数が減少するといった報告があります。
実際、長風呂やサウナを3か月控えたことで精液所見が改善されたとの事例があり、精子の質の改善を考えるなら湯舟に浸かるよりシャワーの方が良いですし、湯舟につかるにしても温度を下げる、頻度を下げる、短時間で済ませることよ意識する方が良いでしょう。
③長時間の座り作業
2012年のシドニー大学の調査によると、日本人の平均座位時間は世界で最長の7時間との結果となりました。
長時間座り続けることで血流や筋肉の代謝が低下し、心筋梗塞、脳血管疾患、肥満、糖尿病、がん、認知症など健康に害を及ぼす危険性が指摘されています。
仕事で長時間椅子に座りっぱなしという方が多いと思いますが、座りすぎも精子には悪影響があります。
2019年ポメラニアン医科大学の研究では254名の男性に対し、勤務時間の半分以上がデスクワーク中心のグループと、そうでないグループの二つ分けてそれぞれの精液を調査しました。
その結果、デスクワークグループの方が、精子のDNAが損傷している割合が高くなっていることがわかりました。
長時間のデスクワークでは、精巣周辺に熱がこもりやすくなり精子の質の低下につながってしまうそうです。
デスクワーク中心の男性は、下着に気を使ったり、こまめに立ち上がること意識して、精巣付近に熱がこもらないようにしたり、通気性を工夫するのが良いでしょう。
④ノートパソコンを膝の上に乗せる
ノートパソコンを膝の上にのせて使うことによっても精子に悪影響を与える可能性があります。
米ストーニーブルック大学の研究チームでは、男性被験者29人の陰嚢のそばに温度センサーを設置し、膝の上でノートパソコンを使って10~15分後にセンサーを確認したところ、温度は精子の生産を阻害するレベルに達していたそうです。
またアルゼンチンでは、無線LANの電磁波が影響で精子のDNAが損傷したり、運動性が低下することが指摘されています。
5分程度の短時間では問題がないでしょうが、10分以上膝の上でのパソコン作業は控えテーブルに置くようにしましょう。
今回の内容は内容はどれも温度に関係していることであり、精子をつくる環境は熱に弱いことを意味しています。
その他、温度関係以外でも、喫煙、アルコール、肥満、ストレス、こういったものも精子の質の低下につながってしまうと考えられています。
もちろん、これらのこと全てに気をつけていくのは難しいことですが、元気な精子を保つためにも、せめて精子の質が低下する要因をなるものを、きちんと知っておくことが大切です