
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されると、「まず糖質を控えましょう」と指導されることがほとんどです。
しかし、日本を含めアジア人のPCOSでは、肥満や耐糖能異常の患者さんは20%未満くらいと少なく、むしろ痩せ型の体形の方のほうがPCOSが多い傾向にあります。
つまり、日本人の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者さんの多くは「痩せ型」。
肥満型を前提にした糖質制限がそのまま当てはまらないケースが多くあります。
この記事では、不妊治療中の痩せ型PCOSの方が陥りやすい食事の落とし穴と、卵子を守るための正しいアプローチを分子栄養学の視点から解説します。
この記事でわかること
- 痩せ型PCOSの見分け方と、見落とされやすいサイン
- 不妊治療中に糖質制限が合わないケースがある理由
- 血液検査で読み解く「細胞のエネルギー不足」のサイン
- 卵子の質を守るための具体的な食事・栄養対策
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
PCOSとなった卵巣内には小さな卵胞がたくさんあり、ひとつの卵胞が大きくなれずに排卵がうまくいかなくなることで排卵障害が起こります。
排卵がうまくいかないと月経周期が乱れたり無月経になったり、不妊症の原因になることがあります。 ScienceDirect
生殖年齢の女性の約6〜8%に見られる疾患で、欧米では肥満や多毛を伴う例が多く見られますが、日本では痩せ型で症状が目立ちにくいケースも少なくありません。 ScienceDirect
痩せ型PCOSに当てはまるか確認しよう
「普通体型だと思う」という方でも、細胞レベルではエネルギー不足になっていることがあります。
以下の3つを確認してみてください。
① BMI 18.5未満
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例:身長158cm・体重45kg → BMI 18.0
BMIが20前後であっても、筋肉量が少ない場合は要注意です。
② 体脂肪率20%以下
女性ホルモン(エストロゲン)は脂肪組織で産生・貯蔵されます。
脂肪が少なすぎると、ホルモンバランスが乱れやすくなります。
③ 隠れエネルギー不足のサイン
次のような症状が続いている場合、細胞レベルのエネルギー不足が疑われます。
- 朝、食欲がない(夜間の低血糖のサイン)
- 舌の縁に歯の跡がついている(低タンパク・むくみのサイン)
- まぶたがピクピクする、足がよくつる(マグネシウム不足のサイン)
血液検査で読み解く「細胞のエネルギー不足」
分子栄養学では、「何カロリー食べたか」よりも「細胞の中でエネルギー(ATP)が正しく作られているか」を重視します。
不妊治療中に定期的に受けている血液検査で、次の数値を確認してみてください。
ASTとALTがどちらも低値、またはALTが特に低い
ビタミンB6不足のサインです。ASTとALTはビタミンB6を補酵素として必要とするため、B6が不足すると両方の値が実際より低く出ることがあります。
糖をエネルギーに変える「潤滑油」が足りていない状態です。
BUN(尿素窒素)が10mg/dL以下
タンパク質不足のサインです。エネルギーを作る「酵素」そのものが足りていない状態で、ATP産生の低下につながります。
フェリチン(貯蔵鉄)が30以下
鉄はエネルギー産生の最終工程に欠かせない栄養素です。ここが不足すると、食べていても体にエネルギーが回りません。
不妊治療中に糖質制限が合わないケースがある理由
低血糖→コルチゾール過剰分泌の連鎖
痩せ型の方が過度に糖質を制限すると、血糖値が必要以上に低下します。
体はこれを「危機」と判断し、副腎からコルチゾール(ストレスホルモン)を大量分泌して血糖値を回復させようとします。
この状態が慢性化すると、以下のような影響が出る可能性があります。
① ホルモンバランスがさらに乱れやすくなる
慢性的なストレス状態ではコルチゾールが増加する一方、ホルモン全体のバランス調整が難しくなります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ではもともとホルモンの偏りが生じやすいため、この状態が重なると卵胞の発育に影響が出る場合があります。
② 卵巣機能・AMH値への影響
副腎への負担が長引くと卵胞を育てる力が低下し、AMH値(卵巣予備能)の変動につながる場合があると考えられています。
③ 卵子の酸化ダメージ
ストレスホルモンはミトコンドリアに負担をかけ、活性酸素を増加させます。これが卵子のエネルギーと質に影響を与える可能性があります。
自律神経の乱れが卵巣への血流を低下させる
エネルギー不足が続くと、自律神経は「緊張モード(交感神経優位)」になりやすくなります。
体は生命維持を最優先し、脳・心臓・筋肉へ血液を集中させるため、卵巣への血流が後回しになります。
酸素も栄養も届きにくい卵巣では、質の良い卵子が育ちにくくなります。
また、夜間に血糖値が下がるとアドレナリンが分泌されるため、「夜中に目が覚める」「悪夢を見る」といった症状が出ることがあります。
これは眠っている間も体が十分に休めていないサインかもしれません。
痩せ型PCOSの正しい食事・栄養対策
改善のポイントは、我慢することではなく、細胞のエネルギー工場を再稼働させることです。
① 糖質は「抜く」のではなく「安定させる」
玄米・芋類・果物などを少量ずつこまめに食べ(補食)、血糖値の急激な上下を防ぎましょう。
極端に痩せすぎているのも、PCOS以外に妊娠・出産の妨げとなります。
体重・体脂肪を極端に増減させない範囲で、栄養バランスを整えることが大切です。
② 鉄・タンパク質・ビタミンB群を意識して補充する
ATPをつくる原材料を揃えることが優先です。不妊治療と並行して、フェリチン・BUN・ビタミンB6の値を定期的にチェックし、不足があれば食事や必要に応じてサプリメントで補いましょう。
③ 「ゆるめる」習慣で卵巣への血流を取り戻す
腹式呼吸・鍼灸・軽いストレッチなど、副交感神経を優位にする習慣を取り入れてください。
交感神経優位の状態を抜け出すことで、卵巣への栄養ルートが開きやすくなります。
まとめ
| 項目 | 避けたいこと | 意識したいこと |
|---|---|---|
| 糖質 | 過度な制限 | 少量ずつ安定して摂る |
| タンパク質 | 不足したまま放置 | 毎食意識して補給 |
| 鉄 | フェリチン値を確認しない | 定期的にチェック・補充 |
| ストレス対策 | 我慢・制限を重ねる | 鍼灸・呼吸・補食で副腎を休ませる |
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の不妊治療中は、真面目に取り組む方ほど「制限しすぎ」の落とし穴にはまりやすいです。
糖質制限・食事制限・ハードな運動が、体の状態によっては逆効果になることがあります。
まだ研究が進んでいる分野ではありますが、血液検査の数値の裏側に隠れた「細胞の声」に耳を傾け、まずはエネルギーを満たすことから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 痩せ型のPCOSでも糖質制限は必要ですか?
A. 痩せ型の場合、過度な糖質制限はかえって副腎に負担をかけ、ホルモンバランスをさらに乱す可能性があります。
まずは血糖値を「安定させる」食べ方を意識することが大切です。担当医とも相談しながら進めてください。
Q. 不妊治療と鍼灸は並行して受けられますか?
A. はい、可能です。鍼灸は自律神経のバランスを整え、卵巣への血流を改善するアプローチとして活用されています。
不妊治療クリニックでの治療と並行して取り入れる方も多くいます。
Q. フェリチンやBUNの値はどこで調べられますか?
A. かかりつけの産婦人科や内科の血液検査で確認できます。不妊治療中であれば、担当医に「フェリチンも調べてほしい」と伝えると対応してもらえることが多いです。
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